プロデューサーのお仕事内容を教えてください。
プロデューサーはプロジェクト全体のリーダーの役割を担います。1つのショーを開発するのには、長いものだと5~10年ほどかかるものもありますが、その初期段階から、最後お客様に届けるところまで関わり続けるのがプロデューサーのお仕事です。
具体的には、どのようなショーにするかの企画立案フェーズ、それをどのような見た目にするのかのデザインフェーズ、それを実際に造りあげていく製作フェーズ、最後に出演者も含めて行うリハーサルフェーズと、川上から川下までを「スケジュール」「コスト」「クオリティー」の観点から管理していきます。社内外のたくさんの人の協力があって、一つのショーをつくることができるので、そのリーダーを務めるのは、本当に試行錯誤の毎日です。
学生時代からショーを観るのが好きだったんですか?
そうですね。出身が宝塚市だったこともあり、幼い頃から舞台はとても身近な存在でした。
学生時代に熱中していたことはありますか?
中学生の頃から学校の外の劇団に所属して、週5でダンス/歌/お芝居のお稽古に励んでいました。自分たちのパフォーマンスでお客様が感動してくださる姿を見て、仲間たちと達成感を味わった経験は、今でもずっと忘れられない思い出です。
そこから、エンタメ業界で「働く」のを意識したのはいつですか?
劇団に所属していたときに、一度は舞台俳優を目指したこともあったんです。でもオーディションを受けてもなかなか成果が上がらなくて。当時ちょうど劇団のチームリーダーをしていたこともあり、自分は俳優としてではなく、裏でチームをまとめるような役割の方が向いているのかもしれないと、制作側のキャリアにも興味が湧きました。それが高校生の頃でしたね。そこから大学は文学部に入って舞台芸術の歴史を勉強しつつ、イタリアに留学して現地で学びました。勉強と言っても、趣味の延長線です(笑)

©︎小田周介
中村さんの、はじめの一歩(最初に作ったものや、踏み出した瞬間など)を教えてください。
イタリアに留学中、「どうしても現地の劇場で働きたい!」と思って、各地の劇場をまわりインターホンを鳴らして、インターンシップさせてくれないかと直談判しました。イタリア語もままならない中で、20劇場くらいまわってやっとOKと言ってくれた国立劇場では、公演の広報から出演者サポート、チケットもぎりまで、3か月間色々な業務に携わりました。これが初めて裏方として舞台に関わった、はじめの1歩だったと思います。
働いてみたいというただの思いつきで走り始めたのは、良い意味での学生時代の向こう見ずな勢いだったと思います。諦める理由なんてたくさんある中でも、興味を持ったことに対してはめげずに挑戦したことで、良い結果につながったので、学生の頃の勢いってとても大事だなと思いました。
学生時代の経験で、社会人になった今も活きていると思うことはありますか?
学生時代から社会人になった今でも、月に2回は必ず劇場に足を運んでいます。高校生の頃からなので、単純計算しても300回超です。その時の感じたことは、チケットと一緒にメモを取っていて、その時の自分の感性を後から思い出せるようにしています。感性って一朝一夕で出来上がるものではなくて、日々の積み重ねだと思っているんです。同じ作品を観ても、学生時代に感じたことと、今感じることって全然違うし、いつもその感覚に自分でもびっくりするくらいです。その時その時に感じられるものを大切にしたい。だからこそ学生の皆さんには、今しか感じられないものを、いっぱい感じておいてほしいですね。
中村さんにとって、エンターテイメントとは。
『人生の使命』です。一生かけてエンターテイメントを届け続けたいです。
<コラム>
学生時代に影響を受けた作品を教えてください。
東方神起『時ヲ止メテ』
聴いた瞬間鳥肌が立って、スーッと音楽が身体に沁みた瞬間を覚えています。そこから歌の力ってすごい!と感じて、舞台俳優を目指しました。
長谷部誠『心を整える』
中学3年生の時に読んで、私の中のリーダーシップ論をつくってくれたバイブルです。
中村友香
出身
兵庫県宝塚市
職種
テーマパークショープロデューサー
経歴
2018年、新卒でテーマパーク企業に入社。劇場運営や、施設開発の仕事を経て、現在はプロデューサーとしてテーマパーク内のショーの開発に携わっている。