現在のお仕事を教えてください。
まだ仕事とは言えないかもしれませんが、映画をつくっています。つまり脚本を書いたり、監督したりしています。 ライスワークとして、今はショートショートフィルムフェスティバル&アジアの運営などを行っているビジュアルボイスという会社で、映画祭のお手伝いや、クリエイター向けのシェアオフィス(LIFORK H/Q)の管理をしています。 前職はTBSスパークルというテレビの制作会社で、ドラマの助監督や報道の記者、その後出版系の会社で動画コンテンツなどのディレクションをして、今に至るみたいな感じです。

エンタメ業界で働くことを意識し始めたのは?
きっかけになるかはちょっと分からないですが、高校生の時に不登校になりました。ただ不登校ってあまりやることがなくて。一人でできることってなると、やっぱり映画を観るくらいしかなくて。映画は元々よく観ていましたが、それまで以上にレンタルビデオ屋でDVDを借りるようになりました。DISC 1が本編でDISC 2がメイキングというDVDも多く貸し出されていて、それで撮影のメイキングもよく観るようになって。映画がつくられていく過程みたいなのを初めてちゃんと知り、あ、本当にやりたいのはこれだって。そこから映画を作りたいと思うようになりました。
学生時代はどんな人間でしたか?
基本的にずっと物語中毒というか。映画やドラマも好きだし、本を読むのも好きでした。部活は小学校でサッカーをやって、中学は英語部、高校は再びサッカー部でした。サッカーはとても好きだったのですが、お世辞にも上手とは言えないプレイヤーでした。
不登校からはどう立ち直ったのですか?
不登校は高2の時になって、半年ぐらい続きました。本当はそのまま進級することもできたのですが、もう一度高2をやり直したいと思って。 周りには結構反対されたんですけど、新高2として他の高校に転校することを選びました。新しく行った高校は普通の公立高校なのに、割と自由な校風で。そこで出会った人は今でも繋がっていて、落語家になった友達や、音楽プロデューサーになった友達など、人生に結構影響を与えてもらった気がします。
大学ではどういうことを学んでいましたか?
映画をやりたいというのは決まっていたんですけど、視野を広げたいというのもあって芸術学部の「演劇学科」に入りました。映画はどうせ好きだから勝手に勉強するだろうなと思って。小さなコミュニティですけど、自分たちで劇団みたいなものを作って練習してみたいなことをやって過ごしていました。台本を書いたり、演出したり、演じたりと、もう全部やっていました。

就職先はどうやって選んだんですか?
周りはほとんど就活していなくて、就活が始まったことも大学3年生の終わりごろに知りました。何の準備もしていなかったので、知っている映画の制作会社をとりあえず四社だけ応募しました。東宝、東映、松竹、角川。 で、さすがに四社だけは就活を舐めてしまってるなと思ってリクルートのサイトを見ていたら、パイロットの年収が2千万って書いてあって。 え? 空も飛べて年収も2千万もらえる。 めっちゃ夢あるやんと思って。 それもエントリーしちゃいました。映画会社四社とJAL、ANAという珍しい受け方をしたのですが、結局選考の過程でどこも落ちてしまい。どうしようと思って、それまであまり考えていなかったテレビ業界の情報も見始めました。
テレビの制作会社に就職されていかがでしたか?
良い意味であまり「仕事」とは感じませんでした。それこそ大学でずっとやっていたことの延長線のように感じたので、すごく楽しかったです。いろいろなポジションを経験させてもらえたことで映画の見方も変わりました。
作品の着想はどこから来ることが多いですか?
頭の中にいろんな点があって。 で、それが普段はふわふわと浮遊してる状態なんですけど、何か作ろうって思った時に、見る角度を変えると線になる瞬間があって。そこにどんどん肉付けしていくイメージです。肉付けしていく時に使うのは、普段書き溜めている何気ないメモだったりします。例えば、綺麗だなと思った夕焼けの写真を撮ろうと思ってカメラを向けてみたものの、いざカメラを通すと全然綺麗じゃなかったみたいなことがあって。 そういうできごとを「なんかこう感じた」みたいにメモしたりしていて。 そういうものの蓄積が創作に繋がるのかなって思っています。
最終的な目標を教えてください。
やっぱり世界で通用するような作品をつくっていきたいです。邦画全体がどんどんコンテンツとして強くなったらいいなと思います。 日本を代表する監督になり、世界と戦っていくのが目標です。

オリヴィエ・カズマ
出身
大阪府
職種
映画監督
経歴
本名、道廣オリヴィエ一真。 TBS系列の制作会社でドラマの助監督、ニュース映像の編集者、記者として活動後、出版系の会社で動画コンテンツのディレクターなどを担当。 2023年、日々の仕事と並行して、脚本・監督として短編映画「TRACÉ」を制作。全編ワンショット、逆再生で構成されたこの作品は国内外の映画祭で上映され作品賞などを受賞。2025年、2作目となる「23:07」を制作し、那須ショートフィルムフェスティバルでグランプリを受賞した。

